Legal Column
リーガル・コラム

会社法

D&O保険について

この3月1日から令和元年改正会社法(下記①を除く)が施行されました。

改正法は、①総会資料の電子提供制度、②上場会社等での社外取締役設置の義務化、③株式交付制度など多岐に及びますが、今回は、株主代表訴訟等の損害賠償請求がなされた場合に、取締役等が負担する損害賠償金などを、一定の範囲で補填する内容の会社と保険会社との間の契約される保険(D&O保険)について、簡単にご紹介します。

D&O保険は、会社がある役員が負う賠償金や弁護士費用等のために保険会社と契約をして保険料を支払うということから、従来、間接取引(356条1項3号)に該当する可能性が指摘されていましたが、改正前の会社法では直接的な規定はなく、その位置づけや手続が曖昧で、経産省による解釈指針などに拠っていました。

そこで、改正法は、D&O保険の内容の決定につき取締役会(取締役会設置会社でないものは株主総会)の決議を必要とし、利益相反取引の規律を適用しないものと位置づけました(430条の3)。新任の取締役の方がD&O保険を締結するにあたっては、これらの手続をお忘れなく!

なお、改正会社法施行前に締結されたD&O保険について、改正法は適用されません(改正法附則第7条)。しかし、今後、自動更新の際には、改正法の趣旨から、取締役会等の決議を経ておくのが無難と思われますので、ご検討下さい。