Legal Column
リーガル・コラム

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債務者の不動産に関する情報取得手続について

請負代金の支払や損害賠償等を求めた裁判で勝訴しても,相手が支払ってこない場合,強制執行を検討することになりますが,相手が預金,不動産等の財産を隠匿している場合など,強制執行するべき財産がわからない場合があります。裁判に敗訴した債務者等の財産調査のために,旧民事執行法の平成15年改正において財産開示手続が創設されましたが,これは使い勝手が悪く実効性の乏しい手続でした。

2020年4月,改正民事執行法が施工され,,債務者財産についての第三者からの情報取得手続きが新設され,預貯金債権,給与債権などについての情報取得手続が利用できるようになりましたが,それに加え,本年(2021年)5月から,債務者の不動産についての情報取得手続も利用できるようになりました。
不動産に関する情報取得手続の申立が認められると,登記所から債務者名義の不動産に関する情報を得ることができます。不動産は比較的経済的価値の高いものが多いので,強制執行を行い債権を回収することが期待できます。

不動産に関する情報取得手続の申立については,債務名義等,強制執行のための一般的要件の他に,判明している財産に強制執行をしても弁済を受けられないことの疎明や,財産開示手続を行い,その期日から3年以内に申し立てることなどが要件とされています。

これらの制度に,関心がおありの方はご相談いただければと思います。