Legal Column
リーガル・コラム

債権法改正

民法改正の重要ポイント③―消滅時効-

前回に続き、2020年3月1日から施行される民法改正の重要ポイントを解説します。今回は、消滅時効です。

1 債権の消滅時効期間の新しい原則

旧法では、債権は、『権利を行使することができる時から10年で時効消滅する』のが原則でしたが、新法では、『①権利を行使することができることを知った時から5年、②権利を行使することができる時から10年で時効消滅する』のが原則となりました。

2 職業別短期消滅時効・商事消滅時効の廃止

旧法では、職業別に短期消滅時効期間が定められており、例えば、飲み屋のツケなどは1年で消滅するとされていました。また、商法に「商行為によって生じた債権は5年で消滅する」という規定がありましたが、今回の改正により、いずれも廃止されて、上記の新しい原則によることになりました。

3 人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効

不法行為による損害賠償請求権が、①損害及び加害者を知った時から3年、②不法行為の時から20年で消滅することは変わりません。

しかし、新法では、人の生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、不法行為でも債務不履行でも、①知ってから5年、②行為の時(権利行使可能時)から20年に期間が延長されています。

4 新法の適用時期

新法の施行日である2020年4月1日前に債権が生じた場合には、新法の時効期間の原則が適用されます。

しかし、人身侵害の損害賠償請求の時効期間については、施行日時点で、旧法の3年の消滅時効が完成していなければ、新法の5年の時効期間が適用されることになります。