民法改正の重要ポイント②-保証人の保護の強化
2020年3月1日から施行される民法改正の重要ポイントのうち、今回は保証人の保護の強化について解説します。
1 事業用融資について個人保証をする場合、保証契約の前1ヶ月以内に、公証人による保証意思確認の手続を踏まない限り、保証契約は無効になることになりました。ただし、債務者が法人の場合はその経営者や大株主、債務者が個人事業主の場合はその配偶者や共同事業主が保証人になる場合には適用されません。つまり、事業経営と関係の薄い個人に事業用融資の保証をお願いする際には、慎重な手続が必要というわけです。
2 同じく事業用融資について個人保証をする場合、債務者は、当該個人に対して自身の財産や収支、債務の状況、担保として提供するものがあるか等を説明しなければならず、説明を怠ったり事実と異なる説明をした場合、当該保証人は、保証契約を取り消すことができることになりました。
3 個人による根保証契約は、極度額(保証人が責任を負う最大の額)を定めない限り、無効とされることになりました(これまで貸金債務についてだけだった規定が全ての契約に拡大)。したがって、例えばアパートの賃貸借契約で賃借人の親が保証人になる場合、今後は、滞納家賃や遅延損害金のいくらまでを親が保証するのか、その極度額を契約書にきちんと定めておかなければ、大家さんは親に滞納家賃を請求できなくなりますので、実務に与える影響も大きいと思われます。
4 また、債務者が期限の利益を喪失した場合(分割払いを怠ったことにより残金一括払いの義務が生じた場合)、債務者は個人保証人に対してそのことを2ヶ月以内に通知しなければならず、この通知を怠った場合、債権者は、当該保証人に対して、期限の利益を喪失したときから通知をしたときまでの遅延損害金を請求できないこととなりました。