マイナンバー制度について
ご存知のとおり、今年からマイナンバー制度が始まります。これを読んでいる皆さんの手元にはすでにマイナンバーの通知が届いていることと思われます。
マイナンバー制度とは、住民票を有するすべての人に12桁の番号(企業には13桁の番号)が割り当てられ、社会保障、税、災害対策の3つの分野で活用される制度です。
この制度により、縦割り行政で見逃されてきた社会保障の不正受給や課税逃れを防ぐことが可能になると言われていますが、一方で様々な懸念の声もあがっています。
内閣府が昨年7月に実施した世論調査によると、マイナンバー制度に対する懸念として、「情報が一元管理され,監視,監督されるおそれがあること」が14.4%,「個人情報が漏えいすることにより,プライバシーが侵害されるおそれがあること」が34.5%,「マイナンバーや個人情報の不正利用により,被害にあうおそれがあること」と答えた人が38.0%となっています。
ただし、制度上、行政機関は情報を一元管理できないシステムになっており、かつ、自分のマイナンバーに対する行政機関による紹介履歴については、2017年から「マイナポータル」で確認することも可能になります。また、個人番号カード(希望者のみ配布)に搭載されるICチップには、所得の情報や病気の履歴など機微な個人情報は記録されませんし、仮にマイナンバーが悪意のある他人に知れた場合でも、法律上は、番号だけではなく写真付きの身分証などもあわせて本人確認するようにと定められています。仮に写真付きの個人番号カードが盗まれた場合は新しい番号に変更して古い番号を無効にすることも可能です。またそもそもマイナンバーの利用範囲は、社会保障、税、災害対策の3点に限定されており、たとえば、民間企業が顧客からマイナンバーを集めて顧客管理に利用するといったことをすることは違法行為です。
といった具合に様々な制度的担保が図られていることは確かですが、制度が施行されてすぐの間は混乱も予想されますし、現状の懸念が払しょくされ、その利便性が実感できる日が来るのか、しばらく注視する必要がありそうです。
最後に、マイナンバー制度のもとでは、民間企業も、厚生年金や源泉徴収等の手続のため従業員のマイナンバーを収集することになります。そこで、国が設置した特定個人情報保護委員会は、従業員のマイナンバー管理について企業向けのガイドライン(「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」)を公表しています。
言うまでもなく情報漏えいは一度起きてしまうと企業の信頼を著しく失墜させますので、企業は、その規模にかかわらず、誰でもログインできるパソコン内に従業員のマイナンバーを保存しておくようなことはせず、ガイドラインに従った、厳格かつ徹底した情報管理が望まれています。