Legal Column
リーガル・コラム

労働関係

公益通報者保護法の改正ついて

本年6月1日から、『公益通報者保護法』の令和2年改正法が施行されました。

『公益通報者保護法』は、公益通報をした労働者に対して事業者が行った不利益な取り扱い(解雇など)を無効とし、そのような労働者を保護する法律です。ここに「公益通報」とは、事業者による一定の違法行為を、労働者等が、不正の目的でなく、組織内の通報窓口、権限を有する行政機関や報道機関などに通報することを言います。

今回の法改正では、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者に対して、内部公益通報対応体制の整備義務を課しています(300人以下は努力義務)。さらに、事業者が指定した公益通報対応業務従事者に対して、刑事罰(30万円以下の罰金)付の守秘義務が課されることになりました。

このほか、より多くの通報者を保護する観点から、保護される公益通報者の範囲を広げ、労働者以外に「役員」と「退職後1年以内の退職者」も含めることになりました。また、保護される公益通報の対象となる法令違反行為について、従前の犯罪行為に加え、新たに過料対象行為も含めました。さらに、行政機関への通報を行いやすくするため、行政機関への通報が保護される場合として、「信ずるに足りる相当の理由がある場合」の他に、「氏名等を記載した書面を提出する場合」が加わりました。また、通報に伴う損害賠償責任を免除することも規定されました。

これらは、事業者にとっては、負担が増す面もありますが、これを有効に活用すれば、リスク管理能力や企業価値が高まる面もあります。これを機会に、社内体制を点検されてみてはいかがでしょうか。