Legal Column
リーガル・コラム

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マンション法改正に向けた動き

国交省の調査によると、マンションストック総数は2021年末時点で約685.9万戸、うち、築40年以上のマンションは115.6万戸でマンションストック総数の約17%ですが、2031年末には249.1万戸となる見込みだそうです。

マンションについて規律している法律の主たるものは、区分所有法(正式名称は「建物の区分所有等に関する法律」といいます。)ですが、2002年に改正されたままでした。昨年10月に、法制審議会区分所有法部会は約20年ぶりにマンションや商業ビルを含む規律について再検討を開始しました。「二つの老い」と言われていますが、前述のマンション自体の高経年化に加え、区分所有者の高齢化も進んでおり、所在不明、非居住も進行しており、大規模災害に備え、健全な区分所有建物の管理・再生を図る必要があります。

現在、法制審部会では中間試案が示され、パブコメに付されており、その後要綱案をとりまとめ、来年の通常国会あたりで改正が見込まれています。

詳細をここで述べるには紙幅が足りませんが、管理の円滑化に関しては、①所在等不明区分所有者を総会等の決議の母数から除外する仕組み、②共用部分の変更(形状又は効用の著しい変更を伴うもの)決議の多数決要件の緩和(現行は「区分所有者及び議決権の各4分の3以上」。これを一定年数の建物等は3分の2や過半数に緩和にする案など)、③2021年民法改正で導入された所有者不明建物管理制度などを参考として区分所有建物に特化した財産管理制度の創設などがあります。再生の円滑化に関しては、建替え決議の要件の緩和(現行は「区分所有者及び議決権の各5分の4以上」。これを4分の3や3分の2に単純に緩和したり、一定年数の建物に限って、このように緩和する案など)が主なものとして挙げられます。

今後の議論状況を注視し、改正がありましたら、折にふれてご紹介したいと思います。