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プロバイダ責任制限法の施行について

~プロバイダ責任制限法の施行について~

本年10月1日,『プロバイダ責任制限法』(正式名称は『特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律』。2002年に施行開始。)の改正法が施行されました。

『プロバイダ責任制限法』は,簡単に言えば,ネット上の誹謗中傷等により権利侵害を受けた個人や法人が,発信者に損害賠償請求等をする前提として,プロバイダに発信者に関する情報を開示することを求める際のルールを定めた法律です。

今回の改正のポイントの一つは,まず手続の簡易化・迅速化です。これまでの一般的な手続は,加害者を特定するためには,まず,コンテンツプロバイダ(掲示板の管理人等)に対し発信者情報開示仮処分の申立てを行い,そこで開示されたIPアドレス(個々の端末に割り当てられた住所のような情報)及びタイムスタンプ(投稿時刻がわかる情報)を基にインターネットサービスプロバイダに対し,投稿者の氏名,住所等の開示を求める裁判を提起するという2段階の裁判手続を経ることが必要でした。しかし,今回の改正では,この二つの手続を一つの手続で行うこともできるようになりました。

また,記事投稿時のIPアドレスを保有せず,ログイン時やログアウト時のIPアドレスのみ保有しているログイン型SNSなどに対する発信者情報開示請求の際に存在していた障害も今回の改正で改善されました。

発信者情報開示請求は,今回の改正により,以前より効果の期待できるものになったといえます。